maneo問題から考えるソーシャルレンディングの危険性
資産運用自体は圧倒的におすすめしますが、ソーシャルレンディング、マジでやめといた方がいいですよ。
リターンに対して、リスクがでかすぎます。
他にもっといい資産運用の方法はありますから。
今回のmaneoでの問題
業界最大手と言われるmaneoが行政処分されそうですが、これはそのリスクの大きさが露見した例と言えるでしょう。投資家の皆さんには早くこの仕組みのやばさに気づいて欲しいもんです。
証券取引等監視委員会は6日、ネット経由で融資を仲介するソーシャルレンディング最大手のmaneoマーケット(東京・千代田)を行政処分するよう金融庁に勧告した。募集時の説明と異なる目的に流用されたのを見過ごすなど、管理体制に重大な不備があったため。流用額は少なくとも10億円以上で、焦げ付くおそれがあるという。
(日本経済新聞 2018年7月7日朝刊)
このケースは簡単に言うと、投資家がソーシャルレンディングの仕組みを利用して「ある会社」に「北海道での太陽光発電やスリランカでの水力発電事業への融資」という名目で貸出をしたら、実はグループ会社の増資などに資金が流用されてしまったでござるということです。
しかも、その「ある会社」は自己資金と投資家から集めたお金を分けて管理していないため、投資家にお金を返せない可能性があるとか。
これだけ聞いてもうやばいですよね。
「こんなの一例にすぎないだろ!いい加減なこと言うな!」って 思われるかもしれませんが、これmaneoが悪いとかその「ある会社」が悪いとか言う話じゃなくてソーシャルレンディングの構造的な問題だと思うんです。
ソーシャルレンディングは資産運用の基本である分散投資から程遠い
資産運用の基本は分散投資ですね。プロ並みの選球眼があれば特定の資産に資金を集中することもありだと思いますが、基本はやっぱり分散投資です。
例えば、日経平均に連動する投資信託を買えば、日本の大企業225社全部に分散投資することができるわけです。
そうすれば、仮にその中の一社が不祥事で倒産したとしても、運用全体で見れば、
225分の1の少ないダメージで済むわけなんです。
ところが、ソーシャルレンディングでは基本的に1社への投資になるので、今回のmaneoでの問題のように、その1社が問題を起こせば、投資した金額は丸々返ってこない可能性があるんです。
これってかなりリスクですよね。
ところが、ほんとに笑っちゃうんですけど、maneoは分散投資を謳っています。
メリット3にがっつり分散投資ができますって書いてるんですよね。
いや、2社以上って!!!!!
2社で分散投資とか言うなや!!!
ここはまあ100歩譲って許せるところなんですけど、驚くのがその2社以上の実態です。
ある案件は、総額で¥31,550,000を募集していて、その内訳は2件となっています。
ところが、
案件1→¥31,500,000
案件2→¥50,000
えっ・・・・
なにこれ。
完全に案件2はおまけじゃないですか。
てかおまけにすらなってないし、ほんとなんやねん、これ。。。
案件2は事業者ANとかいう貸金業者への運転資金の貸付と言うことになっていますが、
ほんと、分散投資とは一体なんなのか。
他の案件もこのAN社に5万円貸し付けることによって分散投資を謳っているものばかりです。
これ、酷くないですか。
そもそも貸出先が信用できない
ソーシャルレンディングでは匿名組合契約の名の下に、貸出先の詳細情報が投資家には開示されません。
なので、maneoでの、貸出先について、事業者Aとか不動産事業者BYとかとしか書かれていません。投資家からすると、maneoが「これ、きっと大丈夫なところだと思うよ」と書いているのを信じるしかないわけです。まあ、その結果が今回の問題なので、その信頼性はお察しといったところでしょう。
そもそも、このマイナス金利政策化で、銀行から低金利で借りればいいものを、「年率10%でお金貸してください!」って一般の投資家にいってくる時点でちょっと怖いですよね。僕は正直全然信用できないです。
事業者が倒産したら、お金は返ってこないことがある
これ、地味に一番やばいと思うんですよね。
簡単に言うと、maneoが倒産したら、maneoを通じて貸出ししていたお金は返ってこないかもしれないってことですね。
重要事項説明書には以下のように書かれています。
・ お客様のmaneo社に対する出資金は、出資された段階でmaneo社の資産 となります。従いまして、maneo社の信用状況が悪化した場合には、お客様 に対して出資金全額を返還することができないこととなり、結果として、お客様 に出資金元本額が欠損する損失が発生する場合があります。
・ maneo社は、お客様からの出資金の預託を受け、お客様への出資金返還金及び配当利益の預託を受け入れることとなりますので、maneo社について倒産手続が開始された場合には、お客様に対して出資金全額の返還をすることができないこととなる結果、お客様の出資金に欠損が生じる可能性があります。
maneoが 倒産しようものなら巻き込まれるってことですね。
これ、ソーシャルレンディングのどれにでも当てはまりますが、僕はこのリスクを負ってまで、たかだか年率10%のリターンが欲しいとは思えません。
maneoが現時点で危険だとかはないですが、「みんなのクレジット」騒動もあるので、なにがあるかはわかりません。
この、事業者の倒産に巻き込まれるという部分は投資信託とか大きく違う部分です。
投資信託の場合は、販売会社、運用会社、信託銀行のどこかが破綻した場合でも投資家の信託財産は保全される仕組みができています。
詳しくはリンクを参照ください。
加えて、ソーシャルレンディングでまずいのが、基本的に中途での換金ができないことです。「あれ、もしかして経営うまくいってない?」とか思っても途中で資金を引き上げることができないんですね。
違う資産運用にしません?
これまで、支払いに遅延したことがない!なんてことを売り文句にしている業者もありましたが、そらこの好景気ならそうですよ。
問題は、リーマンショックみたいなことが起きたときに貸出先もソーシャルレンディングの業者も耐えられますか?ってことです。
仮に日本株関連の投資信託なら、リーマンショックで時価評価が半額になろうが、5年待てば元本は回復しているんです。短期的に値動きがあるとしても、そっちの方がよくないですか?
ソーシャルレンディングは全然投資家が保護されていないんです!!
こんな博打のようなものをやるなら、100倍になる期待を持って仮想通貨を買う方がまだいいと思います。
資産運用は、やった方がいいですが、ソーシャルレンディングには手を出さない方が懸命ですよ。