【子育て世代必見!】教育資金贈与信託の使い道とは?メリットとデメリットを銀行員が徹底解説!
教育資金贈与信託の恒久化の話が出てますねー。
現状の法律だと、来年の3月末までに申し込みが必要になるんですが、これを恒久化して、今後も使ってもらおうってことですね。
この制度、親あるいは祖父母に裕福な方がいるなら、20代30代のみなさんにもぜひチェックしていただきたいです。
なぜならこの制度は、お金持ちのおじいちゃんおばあちゃんが「孫のために、申し込んでみるか!」と自ら言い出すことありますが、「ねえねえ、こんな制度あるんだけど、〇〇君のために贈与してくれたら嬉しいなー」と、子育てしている親の主導で行われることも多いからです。
僕も銀行員として、たくさんこの贈与のスキームを使う人を見てきましたし、手続きも行いましたが、子供から親に仕掛けるケース結構多いし、賢いです。
という訳で、20代30代の子育て世代目線で、教育資金贈与信託を見ていきましょう。
教育資金贈与信託とは
通常、1年間に贈与を受けた額の合計額が110万円を超えると、贈与税がかかりますが、この教育資金贈与信託を使えば、1,500万円を限度に贈与税が非課税で子供や孫、ひ孫等の直系尊属に贈与ができる仕組みです。
一般に、富裕層の相続税対策によく使われますね。
仮に1500万円を一般贈与すると、500万円の贈与税が課されますが、教育資金贈与信託を用いれば非課税ということで効果は絶大です。
子育て世代目線でメリットを見ていきましょう。
メリット1:幅広い教育費に充当できる!
1500万円の非課税枠には内訳があり、学校等の費用には1500万円がまるまる使えますが、塾やスイミングスクールなど学校以外の費用は1500万円のうちの500万円が限度となっています。
ちなみに1500万円という金額は贈与を受ける一人あたりのあくまで上限なので、贈与額がそもそも500万円以内であれば、塾でも学校でも用途は制限されません。
1500万円まで非課税になる範囲とは
1500万円まで非課税となるのは学校等に支払われたものに限定されます。
学校等とは、幼稚園、小・中学校,高等学校,特別支援学校,高等専門学校,大学、大学院、専修学校、日本人学校、インターナショナルスクール(国際的な認証機関に認証されたもの)、外国人学校(文部科学大臣が高校相当として指定したもの),外国大学の日本校、認定こども園又は保育所と結構幅広いです。
その使途は、学校等に対して支払われたことが,学校等からの領収書等により確認できる費用が対象であり、主だったところでいうと以下のようなものです。
・入学金,在籍料,授業料,入園料,保育料
・施設設備費,教育充実費,教育運営費
・修学旅行・遠足費
・入学検定料 ・在学証明書・卒業証明書・卒業見込証明書・成績証明書等の手数料
・PTA会費,学級会費・生徒会費
・学校の寮費(下宿の場合はダメ)
・幼稚園の預かり保育代
・学校に直接支払う健康診断代
・自動車学校代(当該学校が、専修学校や各種学校の認可を受けている場合)
500万円までしか非課税にならない範囲とは
主だったものだと以下のようなところです。
・学習塾や水泳教室などに直接支払われる授業料
・学習塾の施設の使用料など
・スポーツ(水泳,野球など)又はピアノ、絵画など、その他 教養の向上のための活動の指導料
・上記の指導で使用する物品の購入に要する金銭
・通学定期券代
・留学渡航費,学校等に入学・転入学・編入学するために必要となった転居の際の交通費
・学童保育の費用
・自動車学校代(当該学校が、専修学校や各種学校の認可を受けていない場合)
こんな感じで教育費に限定されますが、結構用途は幅広いです!
メリット2:贈与をするおじいちゃん側の手間は少ない!
一度贈与をしてしまえば、それ以降贈与をしたおじいちゃんおばあちゃんが手続きに再登場する必要はありません。
贈与された資金を管理している信託銀行との請求やりとりは、全て贈与を受けた子供の親権者が行うことができます。
おじいちゃんおばあちゃんはお金を準備して、書類を数枚書くだけなので、負担に感じることはないはずです。継続的に手間がかかるなら、頼みづらいですが、その点は心配ないのです。
「おじいちゃん可愛い孫のためにどうかお願い!」しちゃいましょう。
メリット3:税務署とのやりとりは一切不要
税務署への申告手続きは全て信託銀行が行ってくれます。個人で確定申告をする必要がないのは大きなメリットです。
メリット4:手数料が無料
これびっくりする人もいますが、教育資金贈与信託って手数料が一切かからないんですよ。
じゃあ信託銀行側はなんのメリットがあるの?ってよく聞かれるんですが、信託銀行側のメリットは、富裕層の顧客獲得です。
教育資金贈与信託をきっかけに富裕層の口座獲得や取引深耕に繋がるので、手数料が取れなくても信託銀行としてはメリットがあるわけですね。
メリット5:贈与する側の意思能力があれば、亡くなる直前でも贈与が可能
贈与するおじいちゃんおばあちゃんに意思能力があれば、たとえ亡くなる2日前でも申込手続きが可能です。
僕のお客さんでも92歳のおじいちゃん(この人はかなり元気)が、0歳のひ孫に1500万円贈与するってことがありました。
最悪、文字を書くことができなくても、家族の代筆を認めているところもあるので、そういうケースでも諦めずに信託銀行に相談しましょう。
デメリットもちゃんと見ておきましょう。
デメリット1:払い出しの請求が面倒
贈与された資金は全額を信託銀行が管理するので、いつでも好きな時にATMで引き出せるという訳ではありません。
教育費用が発生した際に、請求書や領収書を信託銀行に提出することで資金が使えるようになるのです。
領収書払いの場合は半年分一括で請求なんてこともできますが、事前に立替払いをしておくことが必要です。
支払いが可能な範囲や、提出に必要な書類は項目毎に細かく決まっていますので、その辺りは契約時に細かく信託銀行に確認した方がいいでしょう。
文科省がQAを出しているのでこちらも参考にしてみてください。
デメリット2:30歳までに使い切らなければならない
贈与された資金は30歳までに使い切らなければ、30歳になった時点での残額に対して通常の贈与税がかかります。
制度が恒久化されることが決定すればの話ですが、後から1500万円までの範囲でなら、追加もできますので、使い切れそうな範囲で贈与するようにしましょう。
その他のポイント
・上限の1500万円というのは贈与を受ける人単位です。複数の祖父母から贈与を受ける際は合算で上限が1500万円です。
・孫が5人いれば、5人それぞれに1500万円贈与することも可能
・年間110万円までの贈与が非課税とされる暦年贈与制度との併用が可能
相談は信託銀行でできますので、まずは相談だけでもしてみてください。
うまくおじいちゃんおばあちゃんを説得できれば、子育ての負担は大きく変わるはずですよ!